ほんとの空 – 安達太良山
長らく行っていなかった山へようやく行ける日がやってきた。
仕事も上手く休むことが出来たし、天気も良さそうなので今年はじめての山行へ、安達太良山へ遊びに行くことにした。
最近早起きが得意になったので、苦にならない早出の出発。朝早く家を飛び出して、奥岳の登山口へと着くと既にいくらかの登山者達が集まっていた。雲ひとつ無い青空。今日はいい日になりそうだ。
と、ここでいきなり話題はそれてお仲間発見。
シルバーは中々珍しい。まだスタッドレスを履いている・・・のはいいとして、フロントが鉄チン・・・なのも置いといて、何故に後輪がシトロエンのホイール!?
気を取り直してスタート。窓に映る自分を撮ったりして。
若草萌ゆる、新緑の季節。はちきれんばかりの瑞々しい生命の力を感じる。早速虫に食われちゃってるけど。
相変わらずの逆光好きである。
馬車道ルートをひたすら歩き、分岐点をくろがね小屋方面へ突き進むと、所謂湧き水であるところの、金明神水がある。いつもと変わらず並々と冷たい水が湧き出ていてありがたいのだが、昨今となってはセシウムやらなにやらかにやらが気になってしまう所。現実を忘れて愉しむ山で、現実に戻されたり。とりあえず一口だけ飲んだ。いつもならボトルは満タンになるんだけど。
そしてやって来ましたくろがね小屋。とは言え特に用事もないので小屋の中へは入らず、外のベンチで一休み。
みんな大好きカロリーメイトで軽く補給。どこでも手軽に手に入るし美味しいけど、口の中の水分は猛烈に奪われる。
くろがね小屋を過ぎると、今までの緩やかな馬車道から一転、強烈な登りになる。
峰の辻分岐点。左手にはもうぽっこりとした山頂が見えている。ここから沼の平が望める牛の背方面と、直接山頂へ向かうルートに分岐する。個人的には直接山頂へ向かうなんて勿体なすぎてとんでも無い。それほど距離も遠回りにならないし、牛の背経由で行ったほうがずっと良いと思う。あくまで個人的な意見だけれど。
ここから見る山頂は、既にたくさんの人でいっぱいだ・・・。
あの人混みの中登るのは嫌だな。
峰の辻は地面も平坦で広く、腰をかけるには丁度いい大きさの岩が沢山転がっている。
それでいてこの地平線が望める絶好のスポットで休憩には持ってこいの場所だと思う。そんな訳でまた休憩。
峰の辻からまたグイグイ高度を上げて、牛の背へ到着。
さあここからがこの山の真骨頂だ。
これが安達太良山に大きく口を開ける沼ノ平。
色すら存在できない、美しき死の世界。
この沼ノ平、天候が不安定でここまでクリアに見えるのはかなり珍しい。
そんな訳で皆さん、写真撮影にお忙しい。
真面目な撮影。
うむ・・・。
沼ノ平のみならず、ここまで高度を上げてくるともう見るもの全てが美しい。水墨画のような世界だ。
せっかく天気も良いので、まっすぐ山頂へは行かず、沼ノ平の周辺を船明神山方面へと回りこんで景色を愉しむことにした。
別角度からの沼ノ平。
どこから見てもダイナミックな景色。生で見た時のこのスケール感は凄まじいものがあります。
石筵分岐点まで到着。既にお寛ぎ中の先客様がいらっしゃったので少し離れた場所に自分も居を構える。
持ってきた座布団ことZ-SEATは機材様がお座りになられるためのもの・・・。人間は地べたに座る。
ひとりだけの山行だし、凝った料理はしないでカップ麺とおにぎりで済ませる。
山でのカップ麺は本当に最高。そしてなぜだかトマト味のカップ麺率が高い気がする自分。
お隣様もラーメンを嗜んでおられた。
椅子まで用意してあるし靴も脱いでいる。缶コーヒーまで傍らに置いて、出来る男の見本だ・・・。
お腹もいっぱいになって、ひとしきり休息も十分に取り、いよいよ向かうはあの山頂だ。
来た道を再び引き返し山頂へ向かう。
特に何事も無く、あっさり到着。相変わらずあまり感動のない山頂ではある・・・。そんな心中を察してなのかここだけ急に天気が悪い・・・。上に登っても特に何も無いので登らずじまい。
無駄に持ってきた三脚等、荷物も重くて疲れてきたので帰りはずるをしてゴンドラで帰る。我ながらいつも思うのだけど、なぜ登りをゴンドラにして歩いて降りないのか。どうせ片道ゴンドラに乗るのなら、どう考えてもその方が楽だと思うのだが、ついつい歩いて登り始めてしまう。好きでやってるからいいんだけど・・・。かくして、今年はじめての山行は無事に終わったのでした。
「この上の空がほんとの空です」
かつて智恵子はそう言った。
今日はそのほんとの空が見れたような気がした。
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