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磐梯山裏磐梯登山口

磐梯山へ登ってきました。
今回は過去に2度登ったことのある八方台登山口ではなく、裏磐梯口からのスタート。
以前、NHKBSの登山番組で見たルートで、山頂直下まで終始林歩きが続く正直退屈な八方台ルートとは違い、豪快な噴火口跡を横目に変化に富んだコースを楽しめそうだなと気になっていたルートであります。片道約4時間、標高差約1,000m の貧脚かつ体力のないワタシにはキツイルートですが、いざ挑戦。

裏磐梯登山口は桧原湖の道路を挟んで南側にある裏磐梯スキー場からのスタートとなります。


EF17-40mmF4L USM

ここは裏磐梯スキー場駐車場。この日はスキー場まで林道を車で進入できたのでちょっとショートカット。時刻は8:30。すでに車が沢山停まっている。
道路が閉じられていた場合は小一時間林道を歩くハメになるらしい・・・。写真の通り、既に日差しがギラギラ。車から外に出た瞬間に暑い。


EF17-40mmF4L USM

さっそく大嫌いなゲレンデ歩きからのスタート。磐梯山はこの時点では遥か遠くに見える・・・。

自分的に登り始め30分ぐらいは特に息が上がりやすくすぐにバテてしまうので、意識してかなり小さめの歩幅で呼吸が乱れないようにじんわり登る。ソロ山行ならではの技かも。同行者が居たらきっと嫌がられるぐらいの超スローペース。自分の足のサイズぐらいしか歩幅を取っていない。しかも休憩を何度も挟む。


EF17-40mmF4L USM

牛歩作戦が効いたのかさほど息が上がることもなく、20分ほどでゲレンデ上部へたどり着いた。この作戦は意外と速い・・。


EF17-40mmF4L USM

ゲレンデ上部へ着くと分岐点。(写真左上)ダイナミックな噴火口壁を登るルートを取る予定なので左、噴火口方面へ進む。
ここからは一見どこがルートなのかわかりづらいゴチャゴチャとしたジャングル歩きとなる。


EF17-40mmF4L USM

ここからは足元がよろしくないのでゲーターを装備。新兵器macpacのゲーター。AZTECというやたら頑丈な素材でできている。5月頃にのぼった那須岳でゲーターの必要性を感じ、TNFの薄手のものを買っていたんですが丈がちょいと短い(スネの半分下ぐらい)点と素材が柔らかいせいかユルユルでルーズソックス状態になるのが不満だったためこっちに鞍替え。TNFのは欲しい人いたらあげます。


EF17-40mmF4L USM

途中小さいが真っ赤な沼を見たり、視界が広がって磐梯山が顔をのぞかせたり、そんなこんなでだだっ広い噴火口へ出る。
瓦礫だらけのゾーン。地面は硬い土ではなく、さらさらの砂浜のような感じ。


EF17-40mmF4L USM

奥へ進むとぽっかりと口を空けて磐梯山方面へ向かっている道(とは言えないけど・・)が。案内板やマーカーがどうも見つけられずよくわからないがそれらしいのでここへ入っていく。さっきここで涼んでた人いたし。
しかし、この辺りからこの日の山行は雲行きが怪しくなっていくのであった・・・。


EF17-40mmF4L USM

進むに連れて徐々に道が険しくなってくる。それでもしばらくは普通に歩ける程度の荒れた道であったが、徐々に両手両足を使わないと登れないような岩場が出てくる。
今にして思えばその辺りで疑問をもつべきだったのだが、何の疑問も持たずに酷い斜度の岩場をよじ登る。


EF17-40mmF4L USM

やがて、進むべき道は冗談ではなく全身を使い、素人ながらに三点支持とか軽く意識して登らないと滑落してしまいような斜度になり必死の思いでそれでも登る・・・。
いつまでたってもルートの案内板は無く、もちろんロープも鎖も無い。振り返ってみると茂みの中にうっすら銅沼(あかぬま)と桧原湖が遠くに見える。どうもおかしい。これはルートを外れているなとようやく気がつく。ちょっと夢中になりすぎた。

腕時計をみるとまだ11時になったばかり。時間はたっぷりあるし、桧原湖と銅沼が見えていて頭上にあるのはおそらく櫛ヶ峰。分り易すぎるぐらいに目印があるので自分の居場所や方角は特定しやすい。食料も水もそれなりにある。防寒具だってある。この状況なら遭難してしまうようなことはないだろうし、それほどトンチンカンな方へは来ていない。いざとなればゆっくり滑り降りて帰れば良いと割と冷静に考える。

ここでひとつ閃き、あまり期待せずに首から下げていたiPhoneを見てみると電波が入っている。迷わずgoogleマップを起動してGPSで測位すると南西の方に登れば弘法清水小屋だ。降りて登り返すよりはここから横に登り切ってしまったほうが速い。おそらくその途中で正規ルートとも合流するだろうと推測し、慎重に急斜面をトラバースしていく。


EF17-40mmF4L USM


EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM


EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM

櫛ヶ峰の岩肌が荒々しい。


EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM

と、その時頭上遥か遠くでゆっくりと何かが横切っているのを見つける・・・。ちょうど自分が向かっている方角と同じなので着いて行くことになる。


EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM


EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM

カモシカだ。野生のだ。すごい!道に迷って良かった!などとのんきにレンズまで重たいのに交換して撮りまくる。我ながら危機感が無い。


EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM


EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM


EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM

親子なのね。やっぱり子供はカワイイ。2頭ともかなり警戒してる様子でこちらが近づけばその分だけ離れていく。ある程度の距離を保ったまま追いかけっこが続く。

夢中になってカモシカの写真を撮りふと顔を上げると、遠くの尾根の上に人工的な立札のようなものが見える・・・。望遠レンズを通して見るとそれは案内板。そして、


EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM

人だ!人がいる!助かった・・・。まずはあの場所を目指すことにしようと、気合を入れなおして崖登り。


EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM

登り切ると、櫛ヶ峰の稜線上、櫛ヶ峰山頂へ向かうルートにでた。眼下には沼ノ平。
磐梯山へ登るルートへの分岐まで道を下る。


EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM

正しいルートへ合流。この案内板を見たときどれほど安心したことか・・・。


EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM

分岐点から櫛ヶ峰を振り返る。ちょうどこの写真の左下のほうから登り、山頂へ続く道が大きく左へ曲がり始めた辺りに出てきたのであった・・・。どうせならついでに櫛ヶ峰を制覇すればよかったか・・・?それにしてもかなり余分な体力を使ってしまった。


※パノラマスティッチ – クリックで拡大 | EF 17-40mm F4L USM

これから向かう弘法清水小屋〜山頂方面を望む。雄大な景色が目の前に広がり、爽やかな風が吹き抜ける。まだちょっと小屋や山頂は遠いけれど、こんな気持ちのいいところを歩けるので気にならない。なにより、無事にルートに復帰できたので既に達成感で充ち溢れている(笑)
EF17-40mmF4L USM

気持ちのいい道だ・・・。


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心に余裕ができたので花の写真も撮る。


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三合目を過ぎてまもなく、黄金清水。例によってキンキンに冷えている美味しい水がすごい勢いで出ている。
遠回りしてすっかり減ってしまった飲み水を補水する。プラティパスの水筒がパンパンに膨らんだ!


EF17-40mmF4L USM


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小屋は今日も賑わっていた。中学生の集団が居た。異国の人も居た。さすがに少し疲れていたので、 持参したおにぎりをひとつ食べてしまう。


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この日は山頂の岡部小屋が珍しく営業していた。たまたま登った2回が休みだっただけかもしれないが。

正直、磐梯山の楽しみは弘法清水小屋だったりもするわけで、ぱぱっと山頂へ登り写真を撮ったらそそくさと清水小屋へと降りる・・・。多分山頂での滞在時間最短記録。ガスっていてあまり景色がよくなかったのもあるけれど、それより清水小屋でご飯食べたりビール飲んだりお茶したりとにかく早く落ち着きたかった。
と、言うわけで弘法清水小屋前まで戻り、とりあえず食事。


EF17-40mmF4L USM

今回はみそラーメンです。疲れた体にしょっぱいみそが染み渡りなんともうまい。生き返ります。


EF17-40mmF4L USM


iPhone 3GS

そして、コーヒー。相変わらず、楽をしてインスタントです。今回はまたも新兵器、ナルゲンのウォーターキャリーボトルを導入。でかいペットボトルで運ぶよりスマートだぜ!ちゃっかりコーヒーを飲んでいるマグも新兵器。スノーピークのダブルウォールチタン。冷めにくいヤツ。

食事を終えて荷物を片付けると、タイミングを見計らったか小屋のおじさんが例によって話しかけてきた。
道に迷った話をすると、あそこは分かりづらいからねー・・・。とよくある話のようで・・・。ぜひ分かりやすくしてください! カモシカの写真を見せると、これは数年前の写真で〜とか色々と小屋にあったカモシカの写真を見せてくれた。さらに今度はおばさんがあまいコーヒーとスナック菓子もたくさん出される。ふたりともいい人すぎる。

さらに話は盛り上がり、最近はやりの山ガールの話題に。この日も途中に一人でのんびり登ってるらしいおしゃれな山ガールと会ったという話をおばさんにした所、それとは別人のようでしたが、日光から一人でバイクでツーリングしてきて山に登ったというタフな娘もいたとか・・・。山ガール増えてるようです。ぼくも出会った娘にせっかく話しかけたんだから、連絡先ぐらい聞いときゃよかったなーと後悔して嘆いていた所、おじさんが言うには「山にひとりで来るような女の子はたいてい彼氏居ないから大丈夫だ!」とか、おばさんに至っては「もう押しの一手ですよ!!こんど一緒に登りましょうとか!どんどん攻めないと!!」とありがたいアドバイスを頂きました。次の山行からはお嫁さん探し始めます。磐梯山の山頂で結婚式を挙げた人も居るんだって・・・。


EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM

ひとしきり小屋で盛り上がった後、帰りは楽そうなルート、中ノ湯を経由してスキー場に戻るルートを取ります。小屋で栄養ドリンク買ったので元気です。


EF17-40mmF4L USM

中ノ湯の分岐からしばらく歩くと銅沼(あかぬま)へ到着。ここまで来ればもうゲレンデを降りるだけ。ゴールは目前です。


EF17-40mmF4L USM

日光白根山でトラウマとなった恐怖のゲレンデ下りをこなし、無事に愛車の下へ到着。長かった・・・。時刻は夕方5時半を過ぎた頃。約9時間の山行でした。さすがに足が痛い。

今回の山行では途中、ルートを外れてしまい運良く戻ってこれましたが一歩間違えたら危険な状態になるところでありました。そのような経験ができたのはある意味でとても良いことであったと思います。次回以降、もっと注意深く歩を進めるべきだと反省。そして今にして思えば、カモシカちゃんたちはもしかして道標となり自分を助けてくれたのかなとなんだか都合の良いことを考えてみたりもするのであった・・・(笑)得るものの大きい山行でした。

Comments

いや~壮大だね!
9月中頃以降なら時間多分あるから一緒にいきましょー

by まこち | 2010年08月24日 8:32

いいですね、どこか行きましょう!
んで夜は中華食べよう、腹いっぱい。

by ノスポン | 2010年08月24日 23:25

この記事で、ヒントが得られました。林道と崖、山頂付近の急坂はちょっと注意したほうが良さそうですね。また、体力も考慮すれば大丈夫そうです。
 ありがとうございます。

by さっとん | 2012年08月24日 23:57

さっとんさん、ご覧いただきありがとうございます。

道に迷ってしまったり何かとお恥ずかしい記事ですが、何か参考になる点があったとすれば幸いです。裏磐梯スキー場からの登山は初めての経験で、途中道を見失ってしまい苦労しました。小屋の親父さんにも確かにルートがわかりにくいと言われたりもしましたし、もし同じルートで登られるのでありましたら確実なルート確認をオススメいたします。

そして最後の弘法清水小屋から山頂までは僅かな距離ですが、なかなか強烈な登りになりますのでお気をつけ下さい!

by ノスポン | 2012年08月25日 0:16

体力と時間を考慮して、櫛が峰西肩経由に検討中です。
 体力は覚悟を決めましたが、時間を考えて八方台との検討を進めていきたいです。

by さっとん | 2012年08月25日 0:32

裏磐梯スキー場まで車で行ける場合は最高6時間らしく、のんびり登ったほうがいいかもしれませんね。

by さっとん | 2012年08月25日 11:23

スキー場からの登りは工程が長く、最初のゲレンデ歩きが若干退屈ではありますが、そこから先は八方台口とは違い、ダイナミックな景観がありますので、お時間が許すのであればスキー場側がおすすめですねー。私は道に迷ってキツイ思いをしてしまいましたが、ルートさえ正しく進めば面白いコースだと思います。

by ノスポン | 2012年08月25日 18:04

主にゆっくり、景色も楽しみたいので、いいコースだと思いました。また、このコースに決めました。

by さっとん | 2012年08月25日 22:35

それは良かったです!
さっとんさんの山行が素晴らしいものとなる事をお祈りしております。

by ノスポン | 2012年08月25日 23:04

父の話によると、「八方台を登ってからのほうが楽だぞ。」といっていたので、毎年6月上旬に八方台を登り、来年9月に裏磐梯、再来年9月に表磐梯を登る予定です。

by さっとん | 2012年08月30日 17:36

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